第3章 化学反応の速さとしくみ
1化学反応の速さ
2化学反応のしくみ
3反応条件と反応速度
1 化学反応の速さ
【反応速度】
単位時間あたりの反応物質の減少する量(mol,mol/L)。または,単位時間あたりの生成物質の増加する量(mol,mol/L)で表す。
例)ヨウ化水素が分解すると水素とヨウ素が生成する。
反応式〔 2HI → H2 + I2 〕
反応速度は着目する物質,時間によって値が変わる。
例題
ある一定温度で,同じ物質量のH2とI2を10Lの密閉容器に封入して加熱したところ,60秒間で,HIが7.2mol生成した。この間のHI,H2に着目した反応速度〔mol/(L・s)〕をそれぞれ求めよ。
反応式は,H2 + I2 → 2HIである。60秒後にHIが7.2mol生成しているので,H2は7.2/2=3.6〔mol〕反応している。
HI:(7.2/10)×(1/60)=1.2×10-2〔mol/(L・s)〕 H2:(3.6/10)×(1/60)=6.0×10-3mol/(L・s)
2 化学反応のしくみ
【活性化エネルギー】
化学反応が起こるためには,原子,分子,イオンなどの粒子が衝突して,粒子の間で組換えが起こらなければならない。しかし,衝突するだけでは反応は起こらない。反応を起こすにはその反応に応じた一定のエネルギーが必要になり,これを活性化エネルギーという。反応物の粒子は,活性化エネルギー以上のエネルギーを得ると,高エネルギー状態の複合体を形成して生成物に変わる。この高エネルギー状態を遷移状態(活性化状態)という。またこときできた複合体を活性錯体という。